マーケティングの話になると、マス or ニッチの選択というのは、よく考えることだと思います。
スモールビジネスで目指すべきはどちらなのか?
実はこの問題。 マス or ニッチ の2極論ではなく、面積が最大化する市場を狙うというのが持論です。
一体どういうことなのか、具体的にお話していきましょう。
マス or ニッチ とは
マス市場、マスマーケティングというのは、大量生産をして多くの消費者を相手にすることですね。
対するニッチ市場、ニッチマーケティングというのはその逆で、一部の限られた人にターゲット絞り込む戦略です。
想像に難くありませんが、マスマーケティングというのは、大企業に圧倒的な有利な選択です。
有利と言うより、ビジネスの規模が大きくなれば、安定した売上を維持するためにマス市場を狙うしかありません。
スモールビジネスにおいてはニッチ市場を狙えと、まことしやかにささやかれますが、必ずしも正しい選択とは限りません。
まずは、マスマーケティングの実例を見てみましょう。
ミスドはマスマーケティング
以前、ミスタードーナツの新商品開発の様子がドキュメンタリー番組で紹介されていました。
本社会議に試作品を持ち込んだ担当者が叱られているシーンがありました。
「そんな、一部の人にしかウケないドーナツを商品にできるか!」というのが、エラいひとの仰ったことでしたね。
この台詞からわかるのは、ミスタードーナツは、マスマーケティングの戦略をとっているということです。
ご存じのように、ある程度の規模の街であれば、全国どこにでも店舗がありますよね。
そして、ミスドが嫌いという人にはあまり会った事がありません。
たくさんの種類のドーナツがあり、あなたもきっと、お気に入りのドーナツがいくつあることでしょう。
もっと個性を出すこともできるはずなのですが、最大限多くの人に買ってもらうために、「全員が好き」を極限まで目指す商品開発をするのだと思います。
実際には、多彩な種類でポジショニングをとるということはあるように思います。
フレンチクルーラーは好きだけど、ポン・デ・リングはそうでもないという人もいるでしょう。
(余談ですが、僕はオールドファッションが好きです)
そんな商品群をトータルで見て、ミスドが好き?嫌い?と聞かれたら、好きと答える人が圧倒多数だとは思います。
ニッチ市場のメリット
では、私たちのようにスモールビジネスを展開している人は、大企業に勝ち目はないのでしょうか。
そんなことはありません。
資本の大きさでは勝ち目がありませんが、ニッチ市場には比較的スケールメリットがきかないところが残っています。
ニッチ市場はどこにあるかと考えると、一般的には「ニッチな商品」を考えます。
僕も長年その罠にはまってきました。
そもそも本業で扱うものは狙わずともニッチな商品でしたので、ライバルをあまり意識してこなかったのです。
ニッチといえばカッコイイですが、冷静に見て、実はただの斜陽産業であるということに気付いています。
実際に、大手の同業者とまともにぶつかれば勝ち目がないので、ニッチを攻めていたわけではありません。
では、ニッチ市場はどこにあるのか。
ニッチな商品を考えるよりも、ニッチなポジショニングというのが市場の獲得をしやすいです。
僕が実際にやっていることは、難しいことではありません。
「親身な対応をすること」
たった、それだけです。
客商売をしていたら、あたりまえじゃないの?って思うかもしれませんが、じつはぜんぜん当たり前ではありません。
質問や要望に応えるだけでも大変ですし、顧客に起きえるトラブルを先回りしてアドバイスしながら商品を選んでもらうというのは、とても難しいことです。経営側の立場でいえば、とてもハイコストということです。
ある程度の規模でビジネスが回り始めると、イレギュラーな案件はとてもやっかいです。
そのための社員教育、そして、料金の発生しないところで相談にかかる時間を考えると。
普通に考えて採算が合わなくなります。
同業他社のメールを見たことはありませんが、うちに流れ着いたお客様には、「対応してもらえなかった」「無視された」などというお話も聞くことが多いです。
そこで気付いたのが、僕が扱っているのは「ニッチな商品」ではなく、「ニッチな売り方」だったのです。
大手企業や同業他社に真似されることはありません。
グローバルニッチ
ニッチ市場というくらいですが、それを求めている人は、時々ミスタードーナツを食べたい人よりもはるかに少ないです。
対象となる消費者と到達距離をグラフにしたのが下の図です。
より多くの人に、より遠くまで商品が届けば、面積が大きくなりますね。それだけマーケットが大きいということです。
これだけ見ると、対象となる消費者が少ないニッチ戦略がとても不利に見えます。
そこで注目して欲しいのが、ピンクで示したグローバルニッチという考え方です。
身近な対象は少ないものの、到達距離は無限に続きます。
これは、もちろんインターネットの普及によるところが多いです。
1人社長でも、コストをほとんど掛けずに、世界にアプローチすることが可能です。
これによって、面積を無限に広げていくことができます。
ネット上の大規模モール
ネット上で小さなビジネスを立ち上げようと思ったときに、楽天やアマゾンの販売力に圧倒されてしまう人がいます。
上のグラフで気になったひともいるかもしれません。
大規模モールだって、無限に到達距離が伸びるのでは?
たしかにその可能性はあります。
しかし、スモールビジネスで、いきなりアマゾンに対抗しようというのが無謀ですし、チャレンジするメリットもありません。
リアル店舗でたとえるなら、コストコの前に掘っ立て小屋を建てて「何でも揃ってます」って看板を上げるようなものです。
モールに乗っからずに自分のネットショップを立ち上げようとすると、アマゾンや楽天などに勝てるはずがないと考える人も多いようですが、そもそもおなじ土俵で張り合おうというのが大きな間違いです。
大規模モールは何でも揃っているけど、それぞれの商品のことは何も知らないという欠点があります。顧客の立場で考えたときに、必ずしも最安値で品揃えが多いことだけがメリットかというとそうではありません。ブランドイメージや、アドバイスをもらいながら買い物したい人もいますし、その会話自体いを楽しみにしている方も多いです。
まとめ
マスorニッチのイメージが変ったでしょうか。
ニッチも単に、誰も欲しがらないようなものを取り扱うだけではありません。
それぞれの戦略にメリット・デメリットはあるものの、スモールビジネスではニッチ戦略のほうが取りやすいはずです。ネットの普及で到達コストは非常に易くなりましたので、最大現それを生かしてグローバルニッチの可能性を考えてみましょう。
この記事を書いた人
長岡慶一郎。札幌出身。システム開発、寺院仏具の仕事などを経験。合同会社長岡念珠店を経営。販売だけでなく、数珠の作り方や知識に関するオンラインスクールの運営中。現在は、経営ノウハウを生かし、スモールビジネス向けのコンテンツを発信、起業・副業したい人のための個人向けコーチングにも注力している。2022年より「まなびライフオンライン講座」もサービス開始。
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