何を売るかよりも、顧客の何を満足させるか

マーケティング

「それ、きっと売れますよ!」
「そんなもの売って商売になる?」

長年商売をやっていると、何度も言われた言葉です。

はたして、誰かにそう言われた商品は売れた(売れなかった)のか。
マーケティング目線ではなく、個人的なイメージで言われたことは、ほぼ参考になりません。一部評価に、一喜一憂する必要はないのです。

ガラクタでもゴミでも売りようによっては売れるものですが、それは僕の本意ではありません。商品力というのは、絶対的に必要だと思っています。

しかし、真面目な商売をやりたいと思っている人ほど、そこが落とし穴になることがよくあります。
良いものは売れる、と思ってしまうんですね。

良い商品を作る努力は当然のこと、大事なのはその商品で、顧客の何を解決し満足させられるかということです。

商品は陳腐化して当然

洗濯機の性能が低い頃、クリーニング屋さんってとても儲かったんですって。

いわゆるドライクリーニングと言われていますが、かつてはウール製品など自宅で洗えると思っていませんでした。
だから、そういうものは、みんなクリーニング屋さんにお願いしたのです。

僕が子どもの頃には、団地に定期的に回ってきていたのを覚えています。

ところが、家庭用洗濯機の性能は良くなり、柔軟剤は進化しました。
洋服の方も家庭で丸洗いできる素材が開発されました。

一般家庭向けのクリーニング業界というのは、「市場が衰退した」とも言われていたのです。

でも、どうでしょう。
現在、クリーニング屋さんはなくなったでしょうか。
今でもたくさん残っています。それどころか、やり方を変え、元気を取り戻しているようにも見えます。

既存のクリーニング技術だけが商品だという軸で考えると、たしかに需要は減りました。
しかし、顧客中心に考えると、違った見方もあります。

例えば、家庭では落としきれない頑固なシミを消してくれる技術、外れたボタンを付けてくれるサービス、ハギレで通園バックを作ってくれるサービス、そういったニーズを発掘して、業績を伸ばしているクリーニング屋さんもあります。

商品はいずれ陳腐化します。
市場が衰退しているのではなく、市場は常に動いているのですから、こちらが黙っていたら需要の枠から外れてしまうのは当然のことですね。

しかも、陳腐化のスピードはますます早くなっているのは、だれもが気付いていることでしょう。

コンビニはマーケティングのお手本

昭和の終わり頃、コンビニは恐ろしい勢いで数が増えていきました。
平成になる頃には、コンビニ市場は飽和したと言われていたくらいです。

「開いてて良かった!」っていうキャッチフレーズが懐かしい方も多いでしょう。
その頃のコンビニといえば、深夜でも休日でも開いているだけで個人商店の延長でしたね。

でも、コンビニ業界は、それだけで甘んじる事はありませんでした。

冬のおでん販売も定着しました。
公共料金の支払い、宅配便の受付もできます。

記憶に新しいところだと、銀行ATM、レギュラーコーヒーの販売、各種チケットや住民票などの公共サービスまでりようすることができます。

現在、僕らはコンビニで弁当を買う必要がなくても、なにかとコンビニに用事があるのです。

その結果、市場は飽和したといわれたころから平成の間に、コンビニの国内売上や店舗数は4倍にもなりました。

顧客の「欲しい!」を徹底分析し続けているたまものでしょう。
「市場が衰退している」と嘆く暇があったら、なんだったら市場が欲しいのか、常に目を光らせて仕掛けていきたいものです。

市場調査で顧客から意見を採用できることは少ないです。
30年前に「コンビニにあったらいいと思うのはどんなサービスですか?」というアンケートを採ったとしたら、「缶コーヒ-だけでなく、100円で飲めるレギュラーコーヒーも売って欲しい」と答える人がいたでしょうか。

顕在ニーズは、顧客の想像の範囲を超えません。
それを超えて潜在ニーズを掘り起こすのが、マーケターの手腕です。

「営業」ではなく「マーケティング」

営業とマーケティング。
当たり前すぎる言葉でいまさら聞けないけど、混同している人はいないでしょうか。

実は、正反対の意味になります。

営業は、売り手が商品を現金に換えたいということがスタートになっているのに対し、マーケティングは、顧客が何を求めているかということから構築していくのです。

10数年前に会社勤めをしている頃は、「営業、営業、営業!」ということで、違和感に耐えきれずとうとうやめてしまいました。
後に勉強してわかったことは、僕にはマーケティングの方が向いているということです。当時の会社にはマーケティングという発想がありませんでした。

営業が大切な場面だって、もちろんあります。
営業力はビジネスにおいて大切なスキルです。

ただ、致命的な問題があることに気付きました。
マーケティングの発想がないと、市場のニーズの変化に気付きずらいのです。

営業中心で商品が売れなくなってくると、まずは市場が衰退していると感じ、そうでなければ自分の売り方に問題をフォーカスしてしまいます。

そうではなく、今のニーズのなにか。どうしたら、もっと満足してくれるか。そういう視点で商品をシフトしたり、改善を加えることが、社会におけるビジネスの存在意義に直結することになります。

まとめ

あらゆる商品は、必ず陳腐化します。

過去の商品のみにしがみついていると、長期的なビジネスにはなりません。
現代においては、そのスピードはますます早くなっています。

市場が飽和したといわれてから売上や店舗数が四倍にもなったコンビニはマーケティングの良いお手本です。

営業とマーケティングは、考え方のスタートが正反対。
どちらも重要ですが、マーケティングの発想がなければ、時代の変化には弱いです。

あなたのビジネスを存続させること社会貢献になるためにも、マーケティング的な発想を大切にしましょう。


この記事を書いた人

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長岡慶一郎。札幌出身。システム開発、寺院仏具の仕事などを経験。合同会社長岡念珠店を経営。販売だけでなく、数珠の作り方や知識に関するオンラインスクールの運営中。現在は、経営ノウハウを生かし、スモールビジネス向けのコンテンツを発信、起業・副業したい人のための個人向けコーチングにも注力している。2022年より「まなびライフオンライン講座」もサービス開始。

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