新米個人事業主のためのステップバイステップガイド: 開業届から銀行口座選び、SNS活用法まで

経営

こんにちは、まなびライフの長岡です。

この記事では、「小さなビジネスをスタートしたい!」と考えている皆さんに、最初に考慮すべきポイントをまとめてお伝えします。ぜひ参考にしてください。

起業には様々な形がありますが、かつての私のように、一人でスタートしたい、そして大きな開業資金や商品、在庫がない状態から始めたいという方に特におすすめのファーストステップです。

そもそも起業って?

そもそも起業とは何でしょうか?

解釈は人それぞれかもしれませんが、ここでは「起業」とは広い意味で捉え、アルバイトや就職とは異なり、自分自身が事業主となる行動や状態を指します。

法人か個人か

起業においては、法律上、大きく二つの形態が考えられます。法人と個人事業主です。

法人

法人には株式会社、合同会社、合資会社などがあり、設立の目的や経営スタイルによって最適な形態が異なります。一般に「会社を設立し、自分が社長になる」という形です。法律的には、個人とは別の法人格が誕生します。

例えば私の場合、個人である「長岡慶一郎」と法人である「合同会社長岡念珠店」が存在します。会社が利益を上げたとしても、私の収入は決められた役員報酬に限られます。また、法人には法人税や法人住民税など、特有の税金が課せられます。

会社から支払われた分が個人の収入であり、それを基準に個人の各税金が算出されます。

個人事業主

個人事業主は、その名の通り個人です。事業で得た収入はすべて個人のものとなり、業務上の責任も全て個人に帰属します。

各形態には一長一短があり、売上や事業内容によっても最適な選択が変わります。

注意点

第三の選択として無届けでの個人売買もありますが、これは継続的な利益を目指す場合、脱税のリスクがあるためおすすめできません。

個人事業主から始めてみよう

初期費用と継続的な負担

法人化する際の初期費用は高く、数十万円規模が必要です。さらに、法人住民税や厚生年金などの固定費が毎月かかるため、売上が少ない初期段階では厳しいかもしれません。

突然の収益増と税金の増加

一方で、個人事業主の場合、突如として売上が上がると、その分、税金も跳ね上がります。翌年の国保料も増加するため、一時的な成功が後で重荷になる可能性もあります。

年商1千万円を目安に

いつ法人化すべきかは難しい問題ですが、年商1千万円が一つの目安とされています。しかし、この数値も事業内容や家族構成によっては変動するため、柔軟な判断が求められます。

スモールスタートが安全

特に高単価商品を扱う場合、年商1千万円はすぐに達成できるかもしれません。しかし、手探りの状態で顧客を探す場合は、初めは個人事業主からスタートして、ビジネスが安定したら法人化を考えるのが失敗の少ないアプローチと言えるでしょう。

個人事業主の始め方

個人事業主になるのは、非常に簡単です。

開業届を提出しよう

「開業届」を管轄の税務署に提出するだけです。税務署にも備えてありますが、様式をダウンロードできますので、事前に欄を埋めて、分からないところは調べたり、税務署で聞いてみたりするのが良いでしょう。

A4の用紙1枚で、もう一枚はコピーになります。手書きの場合は、2枚とも同じ内容を書いてください。

個人事業の開業・廃業等の届出書

起業するにあたって、それぞれに、心配を抱えている人もいるかもしれません。
例えば、借金がある、心身にハンディキャップがある、長年無職である、その他年齢や出生に関することなど。

しかし、開業届はなぜ税務署に出すかと言えば、「利益が出た場合、ちゃんと税金を払う意思があります」という意思表示ですので、事業者の素行や経歴によって、受理しないということはありません。

驚くかもしれませんが、うちの息子も小学6年生の時点で、堂々と職業欄に「小学生」と書いて提出しましたが、なにもお咎めはありませんでした。

青色申告って?

ここでひとつ、予習しておいた方が良いことがあります。
開業届には、「青色申告承認申請書」という欄がありますね。

今年はいくら儲かりましたと税務署に報告することが「申告」です。それには青色申告と、白色申告2種類の方法があります。真面目に仕事にする気があるのなら、税制上は青色が有利です。つまり、たくさん儲かっても取られる税金が少ない。ただし、帳簿の付け方は面倒になり、雑務が増えてしまいます。

面倒だから白色にしておいて、儲かっちゃったら税金取られたくないので青色にするという後出しジャンケンはできないルールになっています。

個人事業主の事業年度は1~12月で固定されていますが、青色にする場合は3月までに申し出る必要があります。

開業時には、年度途中になると思いますが、まずは、今年度どうするか決断しなければなりません。

ガッチリ準備して初年度の春から大きな利益が見込めるという場合は別ですが、副業として小さく初めてみたいというレベルでしたら、初年度は白色にしておいても良いかもしれません。

年度末に向けて、そのあたりもよく調べて、自分のビジネスにはどちらが有利か考えてみましょう。

銀行口座を開設する

個人用とは別に、ビジネス専用の銀行口座を持つと、後々の帳簿作成や税金計算がスムーズに行えます。

どの銀行に口座を持つか

どの金融機関に口座を持つかは、事業のターゲットによって決めるのが良いと思います。
私が開業したときには、多くの顧客が田舎で、かつ高齢の人が多かったため、ゆうちょ銀行が一番活躍しました。ゆうちょ銀行のATMは全国のどんな田舎でもアクセスしやすいところに設置されています。

ネット銀行も導入しましたが、当時のイーバンク銀行、ジャパンネット銀行などは、高齢者にとっては聞いたこともない名前で、受け入れられませんでした。

時代は変わり、令和の現代では、楽天銀行が一番使われています。ネット販売やオンラインスクールの提供で、顧客層もネット銀行に抵抗のない人たちになったことがあるかと思います。

個人事業主の屋号がついた口座は、顧客にとっても安心材料になりますので、自分の個人口座とは別に開設しておくことは重要です。

ゆうちょ銀行、楽天銀行

参考までに。

ゆうちょ銀行でも個人事業主の口座を開設することは可能ですが、地元郵便局に経験がなく、職員も対応に戸惑う可能性があります。法人と違い、公的に身分を証明できるものは、開業届の控えのみとなります。事業実態を問われることがありますので、このときに、名刺、紙のチラシやリーフレット、ウェブサイトなどが整っていると、説明しやすくなります。

開設手続きは面倒ですが、ゆうちょ銀行は公的なイメージが強いため、ゆうちょの口座があるということも、顧客にとっては安心材料です。

楽天銀行は、個人事業主向けのプランが用意されていますので、とてもスムーズに口座を開設することができます。窓口に行くこと無く、本人確認も全てスマホ上で完結します。

ゆうちょ銀行(事業用途で個人名義の口座を開設されるお客さまへ)

楽天銀行(個人ビジネス口座開設申込)

ウェブサイトやSNSでの告知

現代では、ウェブサイトやSNSは必須です。最低限、何を提供するのか、どのように連絡を取れるのかを掲載しておきましょう。

ウェブサイトは必須

ここ10年は空前のSNSブームで、多くの人が利用していると思います。

かつてのネットマーケティングといえば、ウェブサイトをいかに見てもらうかという一点でしたが、SNSの定着によって、個人のネット発信の方法が大きく変わりました。

そのような状況で、「ウェブサイトは意味がない」とか「インスタをやっているので、ウェブサイトは不要」と思っている人も多いようです。しかし、それは大きな間違いです。

SNS運用はそもそも難しいです。趣味なら好きなように振る舞えばいいですが、ビジネス目的でファンを集めるには、戦略やそれを実行し続ける力も必要です。その上で突然の仕様変更、対人トラブル、メディア自体の衰退などに対応しなければなりません。

また、Facebookの人はFacebookの中で、Instagramの人はInstagramの中でしか情報収集をしていません。自分がInstagramばかり使っていると、世界中の人が見ているように錯覚しますが、例えばX(Twitter)が好きな人は、Instagramで何が流行っているかなんて見ていません。

そこで、どのメディアでどうなろうと、普遍的なオウンドメディア(SNSのように、よそのシステム上で情報配信するのではなく、自分自身で保有しているメディア)を軸にネット上の戦略を考えるのがよいでしょう。

どのSNSが良いか?

「どのSNSで情報発信するのが、良いですか?」という質問も多いです。

結論から言うと、思いつく限り全部やってみることをオススメします。
ただし、時間は限られていますので、全部触ってみて、自分のスタイルに合う物を取捨選択するといいでしょう。

あなたのビジネスで提供するサービスによっては、向き不向きもあるでしょう。また、自分の投稿の癖が、そのSNSの世界観に合うかということも重要です。それぞれ楽しみ方が違いますので、全てのSNSにコピペをしても同じような反応は得られません。中には、「それは、インスタでやれよ!」「ここに、Facebookみたいなこと書くなよ」というやり取りを見かけることもあり、世界観の不一致は評判を下げてしまうこともありそうですね。

事業の公式アカウントでは徹底してビジネスライクに振る舞うか、それとも個人をさらけ出して親しみやすい発信をするか、それらが、テキスト中心か、写真や動画中心かによっても変わってきますね。

基本は全部。
そして触りながら、自分に合う(または反応が良い)ものに絞るのがいいですね。

まとめ

この程度で、基本的な事務手続きは完了です。何も難しいことはありませんが、これからが本番です。売上を上げるための戦略や、日々の運営が待っています。手続きは簡単でも、成功するにはしっかりとした計画と実行が必要です。

以上の手順は基本的なもので、業種によっては特別な許認可が必要な場合もあります。その点も調査しておくと良いでしょう。

タイトルとURLをコピーしました